密室の恋人




 結局、いつものように侑斗のところでお弁当を買い、いつものように茶化され、罵られ、にゃーも連れてきて、晩ご飯になった。

 とは言っても凛子はもう食べていたので、蒼汰にお茶を淹れたりしていただけだが。

「そうだ。
 今日、麻友と行ったの、あのチェーン店だったから。

 店長が出てきて、奢ってもらっちゃったんです。

 どうしたらいいでしょう?」

「ああ、母親にでも言っておくよ」
と蒼汰は軽く言う。

「お義母さま、私が気後れすると思って、あそこにされたんですかね?」

 そう訊いてみたが、
「いや、好きなメニューがあるとか言ってたから、それでかもな」
と蒼汰は軽く流す。

 好きなメニューか。
 あのタンシチューだろうかな。

 まあ、気を使ってくれたのが本当だったとして。

 薫子に訊いてみたところで、
『貴女に気を使ったわけじゃなくて、あそこに好きなメニューがあったからよ』
と嘯(うそぶき)そうだが。

 そう言う蒼汰は、母親の動向にはあまり興味がなさそうだった。

 こっちはめちゃめちゃ気になっているのだが。

 この温度差が、やがて、結婚してからの揉め事につながるんだな、と思った。

 よくドラマなどで見かける
『ねえ、あなたったら、聞いてるの?』
って奴だ。

 危険だ。