密室の恋人

「コンパにしなくても、彼だけ誘えばいいじゃない」
と言いながら、凛子は紅茶を口にした。

「だって、恥ずかしいじゃないの」

 そう言い、赤くなる麻友を可愛いな、と眺めながらも、
「いや、コンパしませんかって言うのも結構恥ずかしいけどね」
と言うと、

「もう~、意地悪ね、凛」
と言ってくる。

「絶対、二人の方がいいと思うけど。
 どうしてもやるんだったら、亜衣たちを誘ったら?」

 ちょっと弥と居ただけで、あんなに怒るのに、コンパとか大激怒されそうだと思って、やんわり断った。

「あー」
と飲みかけた珈琲カップの上から窺うように見ながら、麻友が言う。

「彼氏できたな?」

 まだ返事もしていないのに、友人ゆえの勘なのか、既に決めつけ、

「なにそれーっ。
 なんで言わなかったのっ?

 好きな人が居るとも聞いてなかったのにっ。

 凛っ、水臭い~っ!」
と騒ぎ出す。

「お、落ち着いて。

 いや、言う暇なかったのよ。
 怒涛の展開で」
と周囲を気にして、麻友を抑える。