密室の恋人

「ああそう、この子だよ。
 僕に見えるの」

 弥はすぐにそう断定してくれる。

「……やっぱりそうですか」

 弥はこの霊の姿を此処に見、自分は見えていないのに、いつも、なんとなくそこを見ていた。

「この子がたぶん、蒼汰さんに憑いている霊の正体です」

 弥は凛子がマウスを持つ手の横に手を置いて、凛子の上から映像を覗き込む。

「でもこれ、子供じゃない」

「上村さん、近すぎですよ」

 先程嗅いだばかりの弥の香りがすぐ鼻先でした。

「いいじゃない。
 僕、君のこと好きらしいから」

「いや、好きなら、なにをしてもいいってもんじゃないですよ」

「そう?
 僕、園村のときは、積極的じゃなかったのがいけなかった気がしてさ」

 積極的じゃない?

 誰がだ……。

「蒼汰くんだって、ぐいぐい押してったから、今、凛子ちゃんが蒼汰くんを好きになってるわけでしょ。

 僕も物陰から見てないで、押してった方がいいかなあって思ったんだよ」

「物陰から見てるようなキャラクターじゃないですけどね」

 そんなことより、とふざけているとしか思えない話題を遮る。