密室の恋人

「なに、凛子ちゃん、どうしたの?」
と言う弥に、映像を呼び出しながら言う。

「さっきの映像、故意に或る部分を飛ばしてたんです」

「そうだね。
 そんな気がしたね」

 弥は気づいていたようだった。

「蒼汰くんは映像を直視したくなかったみたいで、あまり見てなかったから気づかなかったかもしれないけど」
と言ったあとで、笑う。

「あれ、映像見に来たんじゃなくて、僕らを監視しに来たんだよね」
と。

「困った人ですよ。
 お陰で助かりましたけど」
と言うと、

「いや、君の方が困った人でしょう。
 またこんなところで、僕と二人きりになって」
と言うが。

「上村さんは別に私に手を出さなくても、女の子には不自由してないでしょ」

「でも、蒼汰くんによると、僕は君を好きらしいよ」

 はいはい、とマウスを操作する。

「あ、流した……」

「此処です」
と凛子は映像を止めてみせた。

「見えたんです。
 此処に子供が」

 薄く蛍光灯の明かりがついた瞬間、隅にしゃがむ子供の姿が見えた。