密室の恋人

「あの、ちょっとお伺いしたいんですけど。
 森田さんは、蒼汰さんを子供の頃からご存知なんですよね?」

「うん。
 昔、日曜日に、社長に連れて来られたりしてたからね。

 あの頃、ちょうど今の社長と同じ部署に居たんで、よく知ってるよ」

 子供の頃の蒼汰くん、すごく可愛かった、と森田は笑う。

 そうだろうなあ。
 可愛かっただろうなあ。

 ああっ。
 写真でもいいから見てみたいっ、と脱線しかけた凛子だったが、なんとか踏みとどまる。

「社長が蒼汰くんをよく可愛がってて、野球とか見に連れてってたからねえ。

 社長は……あ、まあ、あの頃はまだ社長じゃなかったけど。

 やっぱり忙しくて、出かける前に、少し仕事してから行かれてたんで、蒼汰くんを此処で待たせたりしてたんだ」

 ああ、と森田は顔を曇らせる。

「でも、あのときは可哀想だったね」

「あのとき?」