密室の恋人

「蒼汰くん?」
と訊き返すと、

「子供の頃から知ってるんだ、森田さん」
と言う。

「へー、そうなんですか」
と一瞬、軽く流しかけてとどまった。

「森田さんって、もしかして、昔から此処で守衛さんを?」

「いや、定年までは社員だったよ」

 定年後、一応、警備会社に入っているという形にして、此処に居るのだと言う。

 そうか。

 じゃあ、そんなに詳しくはないかも、と思いながら立ち上がる。

「じゃ、そろそろ、上村さん、呼んできます」

 まあ、来られるかどうかわからないが、自分たちで見てもよくわからなかったので、此処はやはり、霊が見える弥に来てもらうしかないだろうと判断する。

 凛子は、内線電話を借りに警備員室に戻った。

 弥に電話すると、もうちょっとしたら下りられると言う。

 蒼汰にまだ時間は大丈夫か確認しようと戻りかけたとき、森田が戻ってきた。

「すみません。
 お電話、お借りしました」
と言うと、

「ああ、いいよいいよ。

 それにしても、大変だったね。

 もうすぐ、エレベーター会社の人も到着するみたいだから」
と教えてくれる。