密室の恋人

 


 帰りに営業を覗くと、誰かが気を利かせて、蒼汰を呼んできてくれた。

 開口一番、
「蒼汰さん、お母様に似てるから、私が好きなんですか?」
と問うてみると、蒼汰は、はあ? と言う。

 上から下まで見て、
「何処が似てる」
と言われた。

「あの、それはそれで傷つくんですが……」

「女は難しいな」
と言うので、

「いいんですよ、蒼汰さんはそれで」
と答える。

「蒼汰さんが、上村さんみたいに女性の扱いがうまくなったら、それはそれで引きます」

「今、堂々と名前を出してきたお前にびっくりしたぞ」

「なにもやましくないからですよ。
 それより、さっきの映像を確認できることになりました」

「さっきの映像?」

「エレベーターが傾いだときの映像です。
 少し気になることがあるので、見てみたいんです。

 本当は上村さんと見たいんですけど。

 また、なにやら言われそうなので、蒼汰さんを誘ってみました」
と言うと、

「本当に全部心の内をしゃべってくるな」
と渋い顔をするので、

「言ったでしょう。
 やましくないからです」
と告げた。

「……わかった」
と蒼汰は目を伏せる。