密室の恋人





 またあのエレベーターの夢を見た。

 朝の光の中、凛子は目だけを開けて、ぼんやりとしていた。

 蒼汰さんのためだけじゃない。

 あの人のためにも、そろそろはっきりさせなきゃな、と思っていた。

 出社した凛子は、エレベーターの前で足を止める。

「あ、乗ろうとしてる」
と声がして振り向くと、弥が立っていた。

「蒼汰くんに言っちゃうよ」

 そう茶化す彼を見つめて言った。

「やっぱり、乗ろうと思います」

 真剣なその口調に、弥はそれ以上はからかっては来なかった。

「わかった。
 僕も一緒に乗ってあげるよ」

「今、なにかすごい感謝しそうになったんですけど。
 上村さん、自分の部署に行くだけですよね?」

「あ、バレた?」

 くくく、と弥は笑っている。

 全く、この人は……と思いながら、エレベーターに乗り込む。