密室の恋人

「冗談だよ。
 僕ももう園田はいいや。

 じゃあね」

 凛子が居たら、なんでまた、そんなこと言うんですかーっ、と言いそうな台詞を吐いて、手を振った。

 明日、この話をしたら、凛子はどんな顔をするだろうと思うだけで、可笑しくなってくる。

 そのあと、会社の友人たちとまた呑みに行った。

 何度も同じ話をしている気がするのに、また笑える。

 気のおけない仲間というのはいい。

 そのうち、ひとりが訊いてきた。

「なあ、上村。
 お前、最近、伊月蒼汰の彼女に手を出してるんだって?」

 心外だ、と笑顔のまま思った。

 まだ、なんにもしてないし。

 僕の基準では。

「大丈夫。
 そんな問題になるようなことはしてないよ。

 女の子には不自由してないし」
と言うと、

「あー、羨ましいなあ。
 お前は気楽で」

 ほんと羨ましいよ、と友人は繰り返す。

 自由が欲しいと指輪をした友人たちは言うが、いや、僕もそうやって、誰かに縛られて、自由が欲しいと言ってみたい、と思っていた。