密室の恋人





「なにかこう、人の闇の部分を覗いてしまった気分です」

 今日は珍しく、蒼汰と一緒にお昼を食べられた。

 会社近くの和食の店だ。

 シャケ雑炊が絶品だ。

 小鉢が竹輪をゴマをまぶして甘辛く焼いたのだけだったり、魚肉ソーセージだけだったりして、手抜きだ、という人も居るが、家庭の味っぽくて、凛子は好きだった。

 今日は、ポテトサラダがついていた。

 当たりだ、私的には、と凛子は思った。

 店内に子連れのママさんたちが居るせいか。

 DVDなのか、何故か、こんな時間なのに、テレビからは子供向け番組が流れていて、画面の中では、高らかに子供と着ぐるみが歌っていた。

 そのせいか、子供たちは騒ぐことなく、画面の子供に合わせて、手だけで踊っていた。

 なんだか和むな、と蒼汰の向こうのその光景を見ていると、
「まあ、あんまりお前は首を突っ込むな」
と言ってくる。

「誰もどうにもしてやれないことだろ。
 それから、……もう上村仙人と二人で出歩くなよ」
と睨まれた。

「いや、出歩きたいわけじゃなくて、なんだかいつも、いつの間にか、そんな感じになってるんですよー。

 っていうか、あの人、仙人じゃない気がしてきました。

 煩悩まみれですよ」

「それなのに、ああして、超越した感じに見えるところが、仙人なんだろうな」
と蒼汰は呟く。