密室の恋人

 



「やあやあ、凛子ちゃん。
 この間はごめんねー」

 月曜日。
 給湯室にひとりで居るときを見計らい、しれっとやってきた弥を凛子は睨んだ。

「ごめんじゃすみませんよ」

 あのあと、大変だったんですよ、と愚痴ってみたが、聞いていない。

 弥は、凛子のまだ絆創膏のある手を取り、
「はい、お詫び」
と見えにくく、水に強い絆創膏に張り替えてくれた。

「……これがお詫びですか」

 どっちの? と思う。

 刺されたことか、それとも。

 蒼汰が見ているとわかっていて、キスしてきたことか。

 ストレス溜まって、うちに波風立てたいだけなんじゃ、と思いながら、溜息をつくと、
「じゃあ、今度なにか奢ってあげるよ。
 ああ、蒼汰くんも一緒に」
と言ってくる。

「結構ですよ」
と言ったが、

「じゃあ、いい日を決めておいてねー」
と行ってしまう。

 この人も実は、蒼汰さん並みにマイペースだな、と思った。

 そういえば、一ヶ月以内に結婚するように言われていたのに、次々と騒ぎが起こるので、忘れてしまっている。

 どうなってるんだろうな、とちょっと思った。