密室の恋人

「そうだ。
 今日気づいたよ。

 もうひとり呪っておいた方がいい人が居るみたいだってね」

「え?
 なんの……」

 話ですか、という前に、いきなり、蒼汰の身体が倒れてきた。

 魂が抜けたかのように。

 凛子は蒼汰が頭を打たないよう、咄嗟に壁と頭との間に手を突っ込んでいた。

 いたーっ! っと叫びそうになったが堪える。

 蒼汰はベッドに倒れ、眠っていた。

 起こさないようにそっと布団をかけ直し、凛子は部屋を出た。

「……おやすみなさい」

 ドアを閉める前、暗い部屋の中を振り返る。

『僕を揺り起こしたのは、蒼汰じゃない。
 君だよ』

 エレベーターの彼が放ったあの言葉がいつまでも凛子の耳に残っていた。