密室の恋人

 




 携帯を切った凛子は、弥に、
「蒼汰さんが迎えに来てくれるそうです」
と言ってくる。

「そう。
 今日、仕事忙しかったみたいなのに、悪いね」

 暗いところまで出ると、危ないので。

 ホームから、駅の構内に移動し、外には出ずにそこで待つことにした。

 ロータリーが見えるベンチに腰を下ろす。

 終電も行ってしまったので、もう人気はない。

 電気はまだついているようだが。

「上村さん、もうちょっと自分を大事にしてくださいよ」

 忠告なんだか、独り言なんだかわからない口調で凛子は言った。

「……そうだね」
とまだ車が行き交っているロータリーと国道を見る。

 そのとき、車高の低い車が前を通って行った。

 高らかに音楽を鳴らすそれを凛子は目で追いながら言う。

「あれって、自分が聞きたいから、大きな音にしてるんですかね?

 それとも、この曲がお薦めだよって流してるんですかね?」

 吹き出した。

「なんで?」