密室の恋人

「ガラスにあの人の姿が見えたんです。
 さっきも居たなって思って。

 そしたら、ナイフが見えたので」

「で、なんで、僕を刺そうとしてるってわかったの?」

 そこで、凛子は苦笑いする。

 だから、代わりにその答えを言ってあげた。

「あの子が、園田と似てたから、僕となにか関係ある子だってわかったんだよね」

 はあ、ええ、まあ、と誤摩化すような返事をしてくる。

「あの子、どうしたの?」
と辺りを窺うと、

「帰っちゃいました」
と言う。

「で、どうして、ずっと座ってるの?」

「……今になって、腰が抜けたからです」

 弥はベンチに置かれている凛子の白い手を取った。

「少し切れてるね」

 赤い筋がついていた。

 そこに唇を寄せると、凛子が慌てて手を取り返す。

「はい」
と鞄から出した絆創膏を渡すと、凛子は、

「前から思ってたんですけど。
 上村さんって女子力高いですよね」
と言ってきた。

「なにそれ……」