密室の恋人

 さっき言ってた、普通だったら、此処で上村さんを好きになっちゃうんだろうなってポイント、その一だ。

「きっと、まだ盛り上がってるんだよ」
と弥が言い、二人で、会社や蒼汰の話をしながら、電車に乗った。

 話しながら、今日は蒼汰さんとはもう会えないかな、と思っていた。

 こんなに仕事が遅くなったら、もう疲れてるだろうし。

 まっすぐ家に帰っちゃうだろうな。

 そう寂しく思いながら、扉のところに立っていた。

 外が暗いので、窓に自分たちの姿が映っている。

 そうか。
 上村さんと夫婦に見えたか、とその姿を見ながら、苦笑いしたとき、それが見えた。

 スマホをいじっているOL風の人。

 さっきも乗っていたような。

 そう思ったとき、その人はスマホを鞄にしまい、違うものを取り出してきた。

 一瞬、目を疑う。

 こうやって、人間出遅れるんだな、と思った。

「上村さんっ」

 身体に添わせるように持っているので、ぱっと見にはわからないが、女の手には、ナイフがあった。