密室の恋人

 



 今は灯りもない教会の前。

 花壇のところで手を離した弥が言う。

「聞いてよ、凛子ちゃん」

 やっぱりか……。

「ちょっと早めに出たら、園田と一緒になってさ。

 店、七時から借り切ってたんだけど。

 まだ時間じゃなかったんだよね。

 で、みんな店の前で話し込んでてて。

 そしたら、僕の横に居た園田がそこの店に行くって」
と斜め向かいの細い路地を指差す。

 此処からでも、白と水色の可愛らしい外装が窺えた。

 外国製のオモチャや服が置いてある店だ。

 以前、友達の出産祝いを買いに行ったことがある。

「基本、此処、夜は呑み屋街だし、物騒だよって言ってついてったんだ。

 で、一緒に園田の子供の誕生日のプレゼント選んじゃった。

 園田が、今日は子供が居なくて、羽根伸ばせると思ったのに、やっぱり、子供のこと考えちゃうんだよね、とか言うのを聞きながらさ」

「そうですか。
 それは、よかったですね。

 いえ。
 ……偉かったですね、かな?」

 弥は千尋と一緒に居られて、嬉しかっただろう。

 子供のプレゼントを二人で買うなんて、少し夫婦気分にもなれたかもしれない。

 だが、辛くもあっただろうと思う。