密室の恋人

 


 
「凛子、今日、呑みに行く?
 それとも、今日も、伊月蒼汰とデート?」

 翌朝、給湯室で千尋にそう訊かれ、凛子は、はあ? ととぼけた返事をしてしまう。

 いろいろ考えて寝不足だったからだ。

「千尋さん、今日は大丈夫なんですか?」

「今日は子供たちは、ばあばのところに泊まるんだってさ。
 旦那は出張。

 こんな夜に、呑まずにいられますかってのよ」

 そう言い、千尋はご機嫌だ。

「あれー、貝塚さんたち、今日、呑みに行くの?」

 通りかかった隣の部署の男性社員が訊いてくる。

「行くよ。
 来るー?」

 行く行く、と簡単に話はまとまってしまう。

 そして、昼休みになる頃には、人数がかなり増えていて、いきつけの小さな店を借り切るという話まで出ていた。

 社食で蒼汰と一緒になった凛子は彼に訊いた。

「今日の呑み会、蒼汰さん行きますか?」

「何処の呑み会だ?」

「千尋さん主催……なんだかどうだか、もうわからない呑み会です」