密室の恋人

「なんでも話してくれ、凛子。
 お前が一人で悩む必要はない」

 蒼汰さん、と呼びかけてきた彼女は腕をつかみ、身を寄せてくる。

「私はいつでも蒼汰さんの味方です。
 なにがあっても、蒼汰さんの味方です」

 そう言い、瞳を見つめてくる。

 初めて会ったとき、可愛いが、意思の強そうな娘だな、と思った。

 話すうちに、気分が軽くなるのを感じて。

 エレベーターでも社食でも、なんとなく、彼女の姿を探すようになった。

 今、こうして自分のことを思うようになってくれた凛子を、初めて会ったときより何万倍も可愛く感じる。

 その凛子が必死に訴えてくる。

 自分は蒼汰さんの味方だと。

 ……余計悪い予感がしてくるんだが、凛子。

 親切が仇になってるぞ、と教えてやるほど意地悪ではない。

 太ってない凛子に、太ったな、というのは平気だが、真実を突くような軽口は叩けない。

 なんだかわからないが必死な凛子を見ていると、
『蒼汰さんは……なんでうちの会社を選んだんですか?』
 そんな彼女の言葉が頭に浮かんできた。

 それが何故なのか。

 今の自分には、わからないが――。