密室の恋人

 

  

 目を覚ました蒼汰は、はっとした。

 自分が寝ていたことに気づいたからだ。

 しまった。
 寝る前に帰ろうと思っていたのに。

 だが、起き上がろうとしたが、腕が持ち上がらない。

 見ると、横で眠っている凛子が自分の腕を強く握っていた。

「凛子?」

 その呼びかけに、凛子は瞼を開けた。

 だが、自分の顔を見つめたまま、しばらく止まっている。

「凛子」

 そうもう一度、呼びかけると、

「……蒼汰さん」
とほっとしたような声を出し、表情を緩ませた。

 だが、一瞬のちに、その顔が強張る。

 ゆっくりと起き上がった凛子は、
「ごめんなさい、蒼汰さんっ」
と言ってきた。

 ごめんなさい?

 ざわりと嫌な予感がした。

「まさか。
 あいつ、現れたのか」

「そうなんです。
 それで……」
と言いかけ、凛子は惑う。

 まるで、叱られるのではないかと構えるように。

「本当にごめんなさい」
と繰り返す。