密室の恋人

 



 深夜、いつの間にか、うとうととしていた凛子の肩に誰かが布団をかけ直してくれた。

 薄く目を開けると、蒼汰がこちらを見て、微笑んでいる。

「目が覚めた?」

 そうやさしく訊く彼に、起き上がらないまま凛子は言った。

「……出てきたんですね」

 自分を見つめるその穏やかな瞳に、それが蒼汰ではないと悟っていた。

「なに?
 凛子ちゃん、もしかして、僕を待っててくれた?」

 凛子は側にあったパジャマを軽く羽織り、起き上がると、蒼汰ではない蒼汰に向かい、言った。

「はい。
 貴方にお訊きしたいことがあったので」

 そう言うと、
「面白くないねえ、凛子ちゃん」
と彼は言う。

「僕から話を訊きだしたいのなら、もっと僕を喜ばせるようなこと言わないと。

 会いたかったわ、とか」

「会いたかったのは、本当ですよ」
と言ったが、

「全然、色っぽくない理由でね」
と彼は蒼汰の顔をしかめて見せる。