「それで結局、弁解に手間取って、肝心な話が出来なかったんですよ」
翌日の給湯室。
たまたま総務に来た弥を給湯室に引きずり込み、凛子は八つ当たりのように文句をたれていた。
「上村さんに電話して、説明しに来てもらえばよかったですっ」
と言ってやったが、弥は、
「そう。
行ってあげてもいいけど。
間違いなく、更に話をドツボに突き落とす自信あるよ」
僕の言い訳も君と似たようなものだから、と言ってくる。
しかも、人の心がなさそうだ。
そのとき、お盆を手に、千尋が戻ってきた。
「あら、上村。
なにしてるの? こんなところで」
「え。
デート」
場が凍りつくようなことを此処で言わないでください、と凛子は思った。
「あらそう」
と千尋はお盆を低い冷蔵庫の上に置いて出て行く。
その後ろ姿を見送った凛子は、
「今ちょっと千尋さん、おかしくなかったですか?」
と言ってみたのだが、弥は、
「いや、別に」
と素っ気なく言う。



