密室の恋人

「ああして、代々、我が家に使えてくれているのです」

 そう語り頷く薫子に、蒼汰さんのことは好きだけど、やっぱり、おうちが釣り合わないな、と思っていると、彼女は言った。

「そう構えることはありません。
 多少、他のご家庭より、雑事が多いだけです」

 多少、ですかね……。

 そんなこんなで、意外と話題には詰まらず、会話は続いていく。

 緊張して、食事が喉を通らないかと思っていたのだが、充分美味しくいただけだ。

 食事の途中で、薫子が言った。

「凛子さんは、いける口ね」

「いえ、最近は、お酒、弱くて。
 禁酒しようかと思ってたところです。

 ……いえ、今、相当呑んじゃったみたいなんですけど」
と言うと、薫子は笑い出す。

 薫子のペースにつられて、かなりワインを開けてしまっていた。

 しかも、この人、顔色ひとつ変えないんだもんな~。

 私はこのあと、立ち上がれるか不安だ、と思っていると、
「凛子さん」
と呼びかけられる。

「蒼汰はうちの跡取りです」

 最悪だ……。

 せめて、何番目かの息子、という、ぼんやりとしたポジションを期待していたのだが。