密室の恋人

「今から、約束があるのよ」

「何処、行くんだ?」

「八時に埠頭に来いと言われたの」

「果たし合いか?」

 一緒に育ったせいだろうか。
 発想が同じだ。

「あれか。
 美晴さんたちか?

 乗せてってやろうか?」

「違う」

「まさか、デートじゃないだろうしな」

「まさかってなによ」

「デートなのか!?
 どうした!?」

「そこでどうしたっておかしくない?」

「乗せてってやろうか?
 早く着替えろよ」

「なんで、あんたの方がノリノリなのよ」

「見たいじゃないか。
 ぼうっとしたお前にどんな男がデートなんて申し込むか。

 うちのお袋が言ってたよ。

 凛子ちゃんは、幾ら美人でも、恋愛結婚とか出来そうにない。

 よっぽど相手が積極的でなくちゃって。

 どんな強引な男か見たいじゃないか」