密室の恋人

「未来の姑さんか」
と他人事かと思い、侑斗は笑っている。

「六時半に、この店だそうだ」
と蒼汰は会社のメモ用紙に書かれた紙を渡してきた。

「じゃあ、ちょっと急ぐから」

「あっ。
 ごめんなさい。

 忙しいのに、出て来てくれて」

「そう。
 携帯、マナーモードにしてんなよ」
と横断歩道を戻っていきながら、蒼汰が凛子の鞄を指差す。

 あっ、しまった。

「でもまあ、電話だけより、会えてよかった」
と蒼汰は笑い、行ってしまう。

「ムカつくな~。
 付き合い始めのカップルって」

 平和すぎて、と横で侑斗が文句を言っている。

「なに言ってんの、あんたなんて、いつも付き合い始めじゃないの」
と言うと、

「どんな厭味だ」
と言われた。

 侑斗は、蒼汰が渡った反対側の歩道を見ながら言う。

「まあ、お前は姉貴みたいなもんだし?
 お前の相手っていうのに反発もあったんだけど。

 蒼汰、いい奴だな」

 いや、……あんたよりは、だいぶん年上だと思うけど、呼び捨て? と思ったが、突っ込まなかった。

「昨日、此処であいつと話したとき――
 ほら、お前が会社のなんとかって先輩と浮気してたときだよ」

「めちゃめちゃ人聞きが悪いんだけど」

 違うよ、と力なく訴えてみたが、無視された。