密室の恋人

「僕がそこで見るのは、若い男じゃないんだよ。
 それはまた、なにか違う霊だよ」

「……そうなんですか」

「今は、僕が見る中年の男の霊が居なかったから、あそこに平気で立ってたんだけどね」

 やっぱり、僕と君とでは見えるものが違うらしい、という弥に、

「でも、私は普段は霊は見えないんです。
 だから、今見たあれは、蒼汰さんの顔をした霊となにか関係あるものなのかもしれません」

「うーん、そうか。
 まあ、ちょっと聞き込みしてあげるから」

「聞き込みって、刑事さんみたいですね」
と笑ったとき、ちょうどエレベーターが着いた。

 扉が開いたようだったが、角度的に中はよく見えなかったし、見るのも少し恐ろしかった。

「じゃあ、凛子ちゃん、頑張って下りてー」
と乗り込みながら、弥は手を振る。

 はい、ありがとうございます、と凛子は深々と頭を垂れた。

 心の中で、最後には裏切る仲間とか言っちゃってごめんなさい、と思いながら。