密室の恋人

 ちょうど、その姿に、もうひとつの影がかぶって見えたからだ。

 そこは、夢の中で、見知らぬスーツの男が立っていた場所だった。

 弥と重なって見えるスーツ姿の男がこちらに向かい、顔を上げようとしたとき、扉が閉まった。

 今の、なに?

 そういえば、上村さんは、階数ボタンの前辺りに人が居ると言っていた。

 その霊なのだろうか。

 そんなことを思いながら、階段を下りていると、
「凛子ちゃん!」
と声がした。

 見ると、階段下に弥が居た。

「上村さん、どうしたんですか?」

「いや、今、君が妙な顔をしてたから、どうかしたのかと思って」

 エレベーターを次の階で降りて来てくれたらしい。

「あ、すみません。
 もう昼休み終わっちゃいますよね」

「いや、いいけど。
 なにかあったの?」

 ざっくりと弥に語ると、彼は眉をひそめる。

「違うなあ」

「え?」