密室の恋人

 ぼちぼち話が終わった頃、煙草を手にやってきた男が、
「あれっ? 上村」
と言う。

 確か、弥の同期だ。

 弥は、やあ、と手を挙げたあとで、
「風が強くて、寒いね。
 そろそろ下りようか、凛子ちゃん」
と言ってくる。

「はい」
とついて中に入った。

「じゃあ、調べとくから」
と弥はそこで手を振る。

「あれ?
 上村さん、何処か行くんですか?」

「いやいや。
 僕はエレベーターに乗るんで」
と笑顔だ。

 そ、そうだった。

 いや、屋上から、総務のフロアはそう離れていないし、下りだから、まだいいのだが……。

「頑張って、凛子ちゃん。
 やせるよ、ファイトッ!」

「もう~っ。
 みんなそればっかり」

 笑ってエレベーターに乗った弥が階数ボタンを押すのを少し恨めしげに見ていたが、ぎくりとする。