「二人で遅刻とかいい度胸だねえ」
と会社のロビーに入った凛子たちは、受付嬢と話している弥にそう言われた。
この人、そういえば、さりげなくいつも、女の子と居るなあ、と気がついた。
まったく下心が見えてこないので、誰もなんにも思わないが。
だが、あのとき、
『あれって、下心がないからなんですかね?』
と言うと、
『え?
あるよ』
とあっさり笑顔で言われた。
もしかしたら、この人、あの悪霊の人よりタチが悪いのではなかろうか。
「今朝、凛子を迎えに行ったら、車がエンストして」
と蒼汰が言うと、
「凛子ちゃんち、此処から徒歩五分くらいだよねえ?」
と言う。
私の足だと、十分ですけどね、と思った。
弥はちらと少し詰まり気味の服を着ている胸許を見、
「それ、僕の身長からなら、見えるけど。
この間も不自然にハイネック着てたし、ちょっとは気をつけたら? 蒼汰くん」
と言う。
あれ?
蒼汰くんになってる、と思った。



