密室の恋人

 そこで凛子はまた黙ってしまう。

 何故だかわからないが、彼女には言いたくないことがあるようだ。

 今、追求したところで、しゃべらないだろうな、と思った。

 ひとつ、溜息をつき、
「珈琲でも淹れてやる」
と言い、凛子をソファに座らせた。

 キッチンから凛子の様子を窺う。

 彼女は惑うような目をしたまま、ソファに座っていた。

 やがて、にゃーがやってきて、凛子の膝に手をかけ、這い上がってくる。

 膝で丸くなるにゃーの背を凛子はただ撫でているようだった。

「ほら」
と珈琲の入ったカップを差し出すと、熱いそれを凛子は少しだけ口にした。

 一息ついたらしい凛子の手からカップを取り、テーブルに置いてやる。

「あいつとなにかあったのか」

 凛子は困ったように自分を見上げている。

 おっと、見下ろしていると、威嚇しているかのようだ。

 凛子がしゃべりにくくなるに違いない、と蒼汰は側に腰を下ろした。

「……はい」
と凛子は言う。

 おのれ、誰だか知らないが、俺もまだたいしたことしてないのにっ、と怒りをたぎらせる。