密室の恋人

 



 朝、目を覚ました蒼汰は自分が何故か、トイレのドアに寄りかかって寝ていたのに気がついた。

「凛子……?」
と部屋の中に向かい、呼びかける。

 だが、返事はない。

 そのうち、にゃーっ、という猫の声がトイレの中から聞こえてきた。

「にゃー?」
とドアを開けようとするが、鍵がかかっている。

「にゃー、閉じ込められたのか?
 鍵を開け……

 開けられるわけないか」
と言ったとき、

「……蒼汰さん?」
と探るような声がする。

「凛子?
 中に居るのか?

 なにをやっ――」

 言い終わらないうちに、にゃーと凛子が飛び出してきた。

 そのまま、にゃーごと抱きついてくる。

「死ぬ死ぬっ、凛子っ。
 にゃーが死ぬっ」

 その言葉に、凛子は、にゃーから手を離したようだった。

 凛子と自分の間で押しつぶされそうになっていた、にゃーが肩を駆け上がり、飛んで逃げていく。

 勢い良く上がって行ったので、爪でがしがし上がられ、痛かった。

 強く抱きついてくる凛子に戸惑いながら、蒼汰は、
「なにがあった?」
と訊いた。