密室の恋人

「君は今、僕から逃げられないし。

 蒼汰は君を好きになったことで、過去の罪の意識に囚われ始めて、動けない。

 ほら、蒼汰のやつ、こんな簡単に僕に身体を乗っ取られたよ」

 楽しげに、実に無邪気に彼は笑う。

「蒼汰を呼んでみる?

 まあ、出てこられないと思うけど。

 あいつは、さっき君が居たのと同じ、エレベーターの中に居る」

 あのエレベーター。

 いつもとなにか少し違うあのエレベーター。

 あの中に居るとき、そこが密室だからと言うのではなく、息苦しかった。

 なにかに追い詰められているような。

 それは、蒼汰の想いなのか。

 それとも、この人の想いなのか。

「怖がらないで、凛子ちゃん。

 僕は君は傷つけるつもりはない。

 だって、好きなんだ。

 だから、ずっと、蒼汰の横から君を見てた。

 ねえ、君も今は、蒼汰より僕の方が好きでしょ」

 ずっと蒼汰の横に居た彼は、いつも見て、癒されていたのと同じ微笑みを、今は、凛子の上で見せる。

「愛してるよ、凛子ちゃん」

 彼は、両手を押さえつけられ、動けないでいる凛子の胸許にそっと口づけてきた。