密室の恋人

「蒼汰はそんなこと言ったんだ?
 僕はなにも約束してないよ、凛子ちゃん」

 蒼汰の手で腕を掴まれ、
「や、やめてくださいっ」
と言ったが、そのまま蒼汰は凛子を抱き寄せる。

「なんで? 凛子ちゃん。
 僕のことが好きなんでしょ?」

「で、でも、その身体、蒼汰さんのですよ」

「しょうがないじゃない。
 僕の身体は――

 蒼汰が殺しちゃったんだから」

 え……。

 思考が止まったせいで、一瞬、抵抗しそびれる。

「やめっ。
 やめてくださいっ」

「どうしたの?
 もう蒼汰の方が好きになっちゃった?」

 いつも笑っている人間は、ちょっと胡散臭いと思っていた。

 悪い人、というのではないが、なにか違うことを腹の中で考えていそうで。

 弥はただ、諦めることも、決断することもできない自分をずっと笑って誤魔化していた。

 じゃあ、この人は?