密室の恋人

「カレー美味しかったんですよ、ほんとに」

 寝たままそう呟いた。

「そうなのか?」

「見た目、普通なんですけど、食べるとなんていうか。

 器がこう、オリエンタル急行みたいで。

 すごくレトロでスタンダードなんですけど。

 見た目普通で、食べると美味しいんですよ」

「話が回ってるが、大丈夫か」

「大丈夫ですよ。
 でね、カレー、蒼汰さんに食べさせたいと思ったんです」

「……そうか」
と蒼汰は笑ったようだった。

 そのまま、凛子はすうっと眠りの淵に落ちる。

 なにかが唇に触れ、あれ? なにもしないって言ったけどな、と思ったが、意識は既に違う場所にあった。