密室の恋人






 何故か侑斗に、にゃーを渡され、凛子は蒼汰とともに、部屋に戻っていた。

 居間のラグの上に座った蒼汰は、開口一番、
「お前は自分を見つめ直そうとすると、上村さんとカレーを食べるのか」
と言う。

 えーと。
 そうじゃなくてですね。

 にゃー、となにも知らないにゃーが愛らしく鳴いて自分を見つめる。

 条件反射か、蒼汰は怒ったまま、向かいに座る凛子の腕の中の、にゃーの頭を撫でた。

「上村さんとは、エレベーターで一緒になったんですよ」

「まだ、例の俺に似ているとかいう霊を気にしてるのか」

「……まあ、一応。

 上村さんにあの霊が見えないのも気になって、訊いてみたんですけどね」

「霊能力があるから、上村さんの話ならありがたがって聞くのか。

 じゃあ、俺が今から、恐山に行って修行してくるから、俺の話を聞け」

「迷走しないでくださいよ~」

「じゃあ、確認するが、上村さんとは、なにもなかったんだな」

「電車乗って、カレー食べて帰ってきて、何処でなにをどうするって言うんですか」

「暗い道とか歩かなかったか」

「歩きましたけど。
 千尋さんの愚痴を聞かされただけですよ~」

「だいたい、お前は……」
と蒼汰が文句を言いかけたが、にゃーがつぶらな瞳で蒼汰を見つめ、にゃーと鳴く。