密室の恋人


 
 


「送るよ」
と言い、マンション近くまで来てくれた弥だったが、

「じゃあ、この辺で」
と何故か、横断歩道を渡る前に足を止めた。

「もう大丈夫だろうから」
と微笑む。

 なんでだろう? と思ったが、コンビニの明かりのせいで、マンションの下はかなり明るい。

 確かに、大丈夫そうだな、と思い、弥に手を振った。

 横断歩道を渡り切るまで、弥は見ていてくれた。

 手を振るので振り返すと、そのまま駅に向かっていってしまう。

 あーあ。
 今日は、余計なこと言っちゃって、上村さん、傷つけちゃったな。

 そう反省した思ったとき、誰かが、がしっと腕を掴んだ。

「確保したよ、蒼汰さん」

 振り返り見ると、侑斗が携帯でそう話している。

 え? 蒼汰さん?

 そのとき、凛子が入ろうとしていた反対側の階段から、蒼汰が携帯を耳に当てたまま下りてきた。

「でかした、侑斗」

 なにか張り込みしていた刑事に寝ぐらに帰ったところを確保された犯人のようだ。

 しかし、何故、結託している、この二人、と思ったとき、威圧するように自分を見下ろし、蒼汰が言った。