密室の恋人

 そのまま並んで歩き出す。

 賑やかな駅前から繁華街を抜け、少し暗い住宅街に向かった。

「凛子ちゃんは、お酒好きじゃないとか?」

「いえ。
 そんなことはないですが。

 最近、ちょっと不思議に思ってたんですけど。

 学生時代の友人とかと久しぶりに会っても、とりあえず、呑もうって感じで。

 たまには呑まずに話したいなあ、とか思うんですよね。

 社会人になると、癖になるんですかね。

 私もつい、言っちゃうんですけど。

 久しぶり。
 今度、呑みに行こうよ、って、ワンセットで」

「僕もたまにそれ思うよ。
 いや、呑むのは好きなんだけどさ。

 伊月くんとはどうなの?」

「え?」

「すぐ呑みに行こうよって感じ?」

「いやあ、一緒に出かけ始めたの、この間からですからね。

 まだよくわからないですが、蒼汰さんは、そうでもないですかね。

 いや、結局は呑むんですけど。

 ちょっとお酒で大失態もあったし。

 ……今は、あの銘柄をすべての店頭から撤去したい気分です」

 とりあえず、侑斗のコンビニから、と思った。