密室の恋人

 


 弥の指定する駅に降りて、外に出た途端、彼が訊いてきた。

「ねえ、呑みたい?
 カレー食べたい?」

 何故、呑みたい? の次がカレー。

 唐突過ぎる、と思いながら、
「あのー、何故、カレー限定なんですか?」
と訊いてみた。

「いや、此処に来たら、美味しいカレーの店があるの思い出して」

「あ〜。
 私、辛いのは駄目なんですけど」
と言うと、

「いや、辛くはないよ」
と言う。

「少し歩いたとこにある。
 落ち着いた雰囲気の喫茶店なんだけど。

 カレーが美味しいんだよ」

 たまに無性に食べたくなる、と弥は言った。

「カレーのあとに、手作りケーキも食べて、完成、って感じ。
 僕の中では」

 辛いもののあとに、ケーキか。

「へえー。
 いいですね」
と笑うと、

「じゃあ、カレーにする?」
と言われた。