凛子は人気のなくなったエレベーターに一人が乗っていた。
さっきまで、近くの書店とファストフードで、友人たちと会い、時間を潰していたのだ。
一人で上まで上がって下りてみたが、やはり、あの人は現れない。
もう一度だけ、と思ったとき、エレベーターが止まり、すうっと扉が開いた。
ぎくりとしたが、よく考えたら、少ないが、まだ人は居る。
誰かが乗ってくるようだった。
扉が開き、現れたのは弥だった。
「なにやってんの、凛子ちゃん。
こんな時間まで残業?」
と訊いてくる。
そんなはずはない。
総務は残業にうるさくて、忙しくても、なかなか残って仕事は出来ないからだ。
弥はそれを知っているはずだ。
エレベーターに乗り込みながら、笑って言う。
「なんで今、会いたくなかったって、顔したの?」
「いや、ちょっと……」
と苦笑いしていると、ふうん、という顔でこちらを見、
「ちょっと、なにか食べに行く?」
と訊いてくる。



