密室の恋人





「おい、侑斗」

 蒼汰が店の前でゴミ箱の中を片付けていた侑斗に呼びかけると、振り向き、

「呼び捨てか」
と言う。

「凛子はもう帰ったか」

「なんで俺が知ってると思う。
 俺は別に凛子を見張ってるわけじゃない」

「見張ってなくても見えるだろう。
 凛子はこの前を通らねば帰れない。

 お前、凛子が帰りそうな時間にバイト入れてるだろう。

 そして、凛子がこの前を通るのを見てる。

 ま、わざわざ見てなくても、あいつ、目につきそうだがな」
と蒼汰は言った。

 側溝の蓋を指差し、
「素っ頓狂だから、この辺でつまづきそうだし」
と言うと、

「超能力者か」
と言われたので、本当にその辺ですっ転んだりするのだろう。

「それ、凛子にも言われたが。
 俺はただ、凛子をよく見てるだけだ」

「付き合い始めたのは、この間からなんだろ?
 ずっと見てたってことは、ずっと好きだったのか?」

 そう訊かれ、
「っていうか、見てると面白いだろ?」
と言うと、侑斗は笑う。