密室の恋人

「行こうか」

「……はい?」

「お前んちに婿に入ってやろうか。

 お前、一人娘か?

 うちには他に兄弟も居るから」

「嘘です。
 冗談ですっ。

 すみませんっ」

 婿に来てもらったところで、蒼汰の家と縁が切れるわけでもないし。

 第一、この庶民めが、婿にくださいなどと言おうものなら、槙村さんとかいう執事っぽい人に成敗されそうだ。

 執事のイメージなのだが、成敗という言葉に引きずられ、今、頭の中で槙村さんは羽織袴で、刀を握っていた。

 ご家老とか、老中とかそんな感じのヒゲの爺さんになっているが、そういえば、年は聞いていない。

 結婚は勢いだ、とみんな言う。

『立ち止まって考えてたら、絶対出来ないわよ。

 だって、他人と家族になるのよ。

 好きだけじゃすまないから。

 本人だけじゃなくて、そこからつながりのあるその他もろもろ、全部ついてくるのよ。

 もう、なにも考えず、敵陣に突っ込む勢いで行くのよ』

 今度結婚する友達がそう言っていた。

 でも、みーちゃん。
 敵陣が凄すぎるよ……。