密室の恋人

「式、やりたいって言ってたろう」

「ドレスが着たいだけですっ」

 勢いで本音を言ってしまう。
 早く答えねば、怒られそうな気がしたからだ。

「じゃあ、ドレスは吐くほど着せてやる。
 幼馴染がやってるレストランが、結婚式もやっている。
 そこに訊いてみたんでいいか」

「は、はいっ」
と自分で答えたあとで、え? はい? と思っていた。

 ちっ、と社長が舌打ちしたところを見ると、そのレストランならすぐに融通が利くようだった。

 やばい。
 本気で結婚が決まりそうだ。

「そ、蒼汰さん?
 あの、まだ、私、蒼汰さんのご家族にご挨拶したこともないんですが」
と引き伸ばそうとしたのだが、

「そういや、そうだな。

 しかし、いい心がけだ。
 親に会いたがるとは」
と言う。

 違うよ!?

「よし、次の週末にしよう。
 いや、それより先に、俺がお前の家族に会うべきだな」

 優先してくれる気持ちはありがたいのですが。
 本っ当に結構です!

 お調子者のうちの家族とノリのいい蒼汰を会わせたら、勝手に、どんどん話が進んでしまいそうだ。