密室の恋人

「じゃあ、俺もカフェオレ」

 はい、と自動販売機の前に行き、買っていたとき、声がした。

「デートか、蒼汰」

 げ。
 社長。

 ひょいと現れた小柄な男に固まる。

 別に社長が悪いわけではないが、今回の件に関しては、諸悪の根源というか。

 そう思ったとき、社長が、蒼汰を鼻で笑って言った。

「誰かに見られるぞ、こんなところで。
 なんだったら、社長室を使っても構わんが」

「やだね」

 うわーっ。
 この二人、ほんとに子供の喧嘩だ。

 私はこんなしょうもないことの犠牲者なのか、と思った。

「蒼汰、結婚式の日取りは決まったか」

「月末近くの大安で」

 勝手に決めるなーっ。

「式場は?」

「探すよ」

「今からじゃ無理だろう」
と社長もさっきの先輩と同じことを言ってくる。

 蒼汰は、いきなり、こちらを振り向き、
「おい。
 お前、場所にこだわりはあるのか」
と訊いてきた。

「えっ?
 いえ、ありませんっ」