密室の恋人

「いらないって、千尋さんも言ってましたけどね。

 でも、もしかしたら、上村さんは、千尋さんにそう思わせるように――」

「遊び歩いてるって?」

「知ってたんですか?」

「此処から五つくらい離れた駅前を通ったとき、見たことがある。

 っていうか、見るたび、違う女と居るけど?」

 それは、違う意味で心配なんじゃないでしょうか……。

「まあ、上村さんはいい人だけど。
 お前はあんまり近づくなよ」

「遊び人だからですか?」

 遊び人って言うんじゃないけど、と弥を好きらしい蒼汰は、あくまでも彼のことは悪くは言わない。

「なにかちょっと嫌な予感がするから」

 そういう言い方を彼はした。

「お前、千尋さんのこと、まだ引きずってるのが、上村さんじゃなくて、他の先輩だったら、そんなに気になるか?」

 まあ、それは確かに。

「でも、それは上村さん、いい人だし。
 千尋さんも好きだし。

 だからですよ、それだけ」
と言った。

「ところで、なにか飲みますか?」