密室の恋人

 



「渋い顔だな、凛子」

 昼休み、社食で向かい合って座る蒼汰に、いきなりデコピンされた。

 なにかもう、結婚の話を知ってる人が結構居て、結婚祝いにか(?)窓際の席を譲られた。

 美晴たちも今日は遠慮して来ない。

「いやあ、余計な話聞いちゃって、ブルーなんですよー」

「余計な話ってなんだ?」

「話せません。
 人の秘密なんですから。

 あっ、取らないでくださいっ、エビフライっ」

「じゃ、話せ」

 高校生かっ、と思いながら、上目遣いに見ていると、エビフライを元の位置に放られる。

「あとで話します。
 此処は人が聞いてるかもしれないから」

 ましてや、今は、みんながこちらをちらちらと盗み見ているし。

「わかった。
 じゃあ、後で、例の場所で」
と言うので、例の場所って何処だ、と思ったが、訊いても怒られそうだし、どうせ一緒に移動するんだからと思い、黙っていた。

 それにしても、男の人なのに、食べ方、綺麗だな。

 そういえば、上村仙人もそうだ。

 豪快に食べる人もいいけど、やっぱり、こういう人の方が私は落ち着くな、と思いながら、蒼汰を眺めていた。