密室の恋人

「社内で騒ぎ起こすといろいろとあれだから、バレないようなところでしかやってないわよ」

 そうだったのか。
 確かに、女の扱いが上手いな~と思ってはいたが。

「あんたは、伊月蒼汰と迷うことなく、結婚しなさい。

 いいじゃない、彼。
 まっすぐで。

 なんか一言多いけど」

 そうですよね。
 さすが千尋さん、と思った。

 奴は常に一言多い。

「ちょっとお坊ちゃんっぽいところが気になるけど。
 世間知らずってわけでもないから、いいと思うよ。

 優しいし」

 じゃあね、と行ってしまう。

 蒼汰は言うこともやることも大胆だが、確かに優しい。

 まあ、ちょっとわかりにくい優しさだし、行きすぎたりもするが。

 大体、会社を休みの日に見たくないと言っただけで、無人島に連れていくとかどうなんだろうな……。

 それにしても、聞かなくてもいいことを聞いてしまった。

 千尋さんも、ずっと上村さんのことを引きずっていただなんて。

 もちろん、今更聞かされても困るだろう上村さんに話すつもりはないが、なにせ、仙人だからな。

 知ってしまったことが顔に出ないように祈ろう。

 そう思った。