密室の恋人

「いやあの、伊月蒼汰じゃ、俺ら最初から敵わないですから」

 なんの争いだ?
 女子社員争奪レースか?

 学生時代、うちのクラスのイケメンを一年に持ってかれたとか騒いでる連中が居たが、そんな感じなのだろうか。

 運動会の玉入れの玉になった気分だった。

 はっきりと蒼汰が言ったからだろう。

「なに?
 もしかして、結婚すんの?」
と面白がってるだけらしい先輩が訊いてくる。

「今月中に」

 こらっ。

「え……
 年内?」

 良識ある先輩は、良識ある聞き違いをしたようだった。

「いえ、今月中に」
「早いね」

「はい」

 また、はい、じゃないだろーっ、と思った。

「え、いつから付き合い始めたの?」
「三、四日前から?」

 はは、と先輩は笑い、

「よく式場取れたね」
と言う。