密室の恋人

 そういうところに、救われる部分もあるのだろうが。

 でも、蒼汰さんと居ると、あの人が現れる……。

 そう思ったとき、蒼汰が言った。

『ああでも、俺と寝ると、あいつが現れるのか』

 超能力か。

 今の間で、こちらの考えを読み取ったようだった。

『やっぱり、あいつを祓ってもらおう』

 そう言ったが、なんだか最初に言ったときほど、本気なようには聞こえなかった。

 蒼汰の声に、迷いが生じているのを感じる。

『もう寝るよ。
 おやすみ、凛子』

 あっさり言う蒼汰に、なんとなく不安になり、

「大丈夫ですか?
 蒼汰さん」
と訊いてみた。

『なんだ。
 じゃあ、こっちに来てくれるか?』
と蒼汰は言い出す。

『まあ、家族も居るが。
 こんなときのために、一人暮らししとくべきだったな』

 そういつもの調子で言い、笑っていた。

『おやすみ』
と言って蒼汰は電話を切ったが、代わりに凛子が眠れなくなる。