密室の恋人

「じゃあ、ちょっと付き合いますよ」
と言うと、蒼汰は少し笑い、

『……ありがとう』
と言った。

 あまり素直だと不気味だ。

 二泊三日、蒼汰と居た。

 家に帰って、やっぱり一人の方がよく眠れるかな、と思ったが。

 こうして離れているときに、そんなことを言われると、側に居てあげた方がいいかな、くらいは思ってしまう。

 それは、きっと、恋とかじゃなくて――。

 恩返しだ。

 あの日、蒼汰に聞いた。

『昨夜、かなりの嵐になったの知ってますか?』
と。

 蒼汰は知らなかったようだった。

 蒼汰と眠ったあの夜。

 蒼汰の身体をのっとっていた『彼』が消えたあと、深夜、かなり嵐がひどくなった。

 島の風は強い。
 家の周囲には木々も多い。

 かなりの音がしていた。

 落ち着かない気持ちになって起き上がった凛子だったが、横で、蒼汰は爆睡していた。

 おのれ、一人がぐっすり寝おって、殴ってやろうか、と思ったのだが、嵐に動じることない蒼汰の寝顔を見ていると、そのうち、気分が落ち着いてきた。

 自ら、蒼汰の胸に寄り添い、目を閉じてみる。