家に入りながら、あー、と凛子は疲れたような溜息をもらした。
「疲れた……。
こんな日は、にゃーちゃんと遊びたい」
「猫借りると、あの男までついてくるだろうが」
そんなことないですよ、と言いながら、手を洗い、グラスを取ってくる。
蒼汰は窓際に立ち、
「お前、何処に居ても、会社が見えるって。
此処こそ、よく見えるぞ」
と言ってくる。
「はあ。
近いですから。
でも、近くても、会社のところ、坂道になってるので、歩いても走ってもかかる時間にあまり変わりがないのが、寂しいところです」
と言うと、それはお前だからだろう、と言われた。
なんか喉乾いた、とワインを開けながら、
「そうだ。
今日、上村さんが面白いこと言ってたんですよ」
と言うと、
「お前、堂々と上村さんの話題から始めるか」
と渋い顔をする。
「なにもやましくないからですよ」
と流して、凛子はエレベーターの霊の話を始めた。
「男の霊と子供の霊ね」
と呟いた蒼汰はなにか考えている風だった。



