密室の恋人

「なんで、上村さんと、たまたまエレベーターが一緒になっただけで、そこまで言われなきゃいけないんですかっ」

「たまたまか?」
と腕を組んだ蒼汰は疑わしげにこちらを見る。

「最初から一緒に居たんじゃないのか?」

 さすが、鋭い。

「そ、それはそうなんですけど」
と素直に認めると、

「ほらみろ、なあ。
 浮気だ」
と断定する。

 ぷっ、と聞いていたらしいレジの店長も店員さんも笑ったので、つられて、侑斗も笑い、咳払いしていた。

「どんだけ嫉妬深いんだ」
と言う侑斗に、

「だって、俺がいい女だと思うんだ。
 みんなもそう思ってるだろう」
と言い放つ。

 は、恥ずかしいから、やめてください。

 此処はレジから近すぎる。

 凛子は、蒼汰を此処から遠ざけようと背を押した。

「もう部屋に上がりましょうよっ。
 買わなくても、うちにもなにかありますよ、探せばっ」

 思わず、そう叫んでしまい、
「ああっ。
 すみませんっ」
と言うと、店長は、

「大丈夫。
 僕らそういうカップル、深夜や早朝によく現れるんで、見慣れてるから。

 気にせず、買い物して」
と半分笑って言ってきた。